3 実施計画のポイントと策定順位
今後、およそ3~5年を要して、順次、各実施計画(マニュアル・チェックリスト作成を含めて)の策定を行い、次いでその実装・点検・改訂のPDCAサイクルを実行していくわけです。ここでは、その準備として、これまでの検討を通して得られた、それぞれの実施計画のポイントを示し、次に策定着手の優先順位について検討します。
1)実施計画のポイント
○個別実施計画1
計画名称 | N-BCPの制定および運用に関する計画 |
ポイント | ○会社の業務としての位置づけ ○今後の運用・改訂 ○BCPの学習・理解 ○訓練 ○BCPの調査・研究 |
○個別実施計画2
計画名称 | 薬局内の整理整頓、機器備品類の配置確認等に関する計画 |
ポイント | ○薬局内の整理整頓 ○機器備品類の配置の確認、通路確保 ○機器備品類のチェックリスト整備 |
○個別実施計画3
計画名称 | 薬局業務の基本習得に関する計画 |
ポイント | ○手作業による調剤業務の習得 ○手作業による調剤事務業務の習得 ○紙ベースの書式・様式の整備 ○機器類の役割や仕組みの理解 |
○個別実施計画4
計画名称 | 薬局業務のスキルアップと守備範囲拡大に関する計画 |
ポイント | ○接客技術や話法の向上 ○各自、業務の守備範囲を広げる |
○個別実施計画5
計画名称 | 緊急連絡網の整備に関する計画 |
ポイント | ○全社的緊急連絡網の整備 ○電話(携帯)が通じない場合などの連絡手段の確保 |
○個別実施計画6
計画名称 | 機器・備品類の耐震措置に関する計画 |
ポイント | ○機器・備品類の耐震措置 |
○個別実施計画7
計画名称 | 機器・備品類の管理運用に関する計画 |
ポイント | ○機器・備品類の台帳整備 ○機器・備品類の配線図整備 ○機器・備品類の点検整備と更新管理 |
○個別実施計画8-1
計画名称 | PC等の管理運用(HP含む)に関する計画 |
ポイント | ○ICT部門の管理・責任者配置 ○ICT部門の基礎的事項の理解とスキルアップ ○各PCのデータ整理整頓 |
○個別実施計画8-2
計画名称 | PC等のデータ管理、セキュリティーに関する計画 |
ポイント | ○システム・データ・ネットワークの所在確認 ○データのバックアップと情報セキュリティーの強化 ○情報システム復旧手順書の作成 ○外部事業者とシステム復旧に関する協定 |
○個別実施計画9
計画名称 | 本部体制の強化と指揮命令系統の確立に関する計画 |
ポイント | ○本部体制の強化 ○指揮命令系統の確立 ○各薬局内での指示徹底と意思統一の方策 |
○個別実施計画10
計画名称 | 薬局長の職務と補佐・代行体制の確立に関する計画 |
ポイント | ○薬局長業務・権限の明確化と周知・理解・共有 ○薬局長の代行者を配置 ○薬局長のスケジュール把握 ○薬局長を補佐すべく各薬局員のスキルアップ |
○個別実施計画11
計画名称 | 停電対策に関する計画 |
ポイント | ○停電時の連絡体制の構築(近隣医療機関等との連絡も含め) ○薬局内の電力・通信等回線の系統のチェック ○停電時の調剤および事務の仕方についてマニュアル作成 ○機器類について停電・通電時の処置マニュアル作成 ○自家発電装置・非常用電源・懐中電灯その他、防災設備・用品の配備 |
○個別実施計画12
計画名称 | 人員体制の整備に関する計画 |
ポイント | ○非常時の安否確認体制の確立 ○人員の確保と拡充 ○緊急時ヘルプシステム・体制の整備 ○薬局地区担当者の設置 |
○個別実施計画13
計画名称 | 経営・管理業務の明確化と補佐・代行・承継等に関する計画 |
ポイント | ○社長・部長の業務代行者の配置 ○社長・部長の業務および専決事項等の周知 ○責任者会議の権限・機能の明確化 ○経営の承継についてその方向性を示す ○事業承継者・次期リーダーの養成 |
○個別実施計画14
計画名称 | 薬局施設の耐震化・不燃化等、防災整備に関する計画 |
ポイント | ○薬局建物・施設の耐震化 ○施設・設備の各種防災措置 ○薬局員各自の防災準備 |
○個別実施計画15
計画名称 | 薬局業務の標準化に関する計画 |
ポイント | ○各種緊急時初動マニュアル作成 ○薬局業務の標準化 ○グループ内他店舗での研修・交流 ○民法上の取引規定および事例の研究 ○企業理念・経営方針の十分な理解・体得 |
2)各個別実施計画の策定着手順について
先に記した〈課題-対策〉の「分類」に基づき、それぞれの個別実施計画の着手順について検討します。この場合、以下のように各分類〈基本度〉と〈優先度〉にそれぞれ配点して合計点を項目数で除し(加重平均)、それぞれの計画に〈基本度-優先度〉の数字の組を与えました。
〈基本度〉分類 | 配点 | 〈優先度〉分類 | 配点 |
基 | 5 | Ⅰ | 5 |
薬 | 3 | Ⅱ | 3 |
会 | 1 | Ⅲ | 1 |
[各実施計画の〈基本度-優先度〉]→ 表Ⅲ-3-1
これらにつき、横軸に基本度、縦軸に優先度をとり、分散図に示すと、下図のとおりです(図中の◆番号は個別実施計画番号)。同時に、下図で、両軸の3.0を基準に、これらをA~Dにグループ化することができます。それぞれの属性は次のとおりです。
グループ(分野) | 属 性 |
A | 応用度は高いが、優先的に取り組むべき計画 |
B | 基本的であり、優先的に取り組むべき計画 |
C | 応用度が高く、じっくり取り組むべき計画 |
D | より基本的であり、じっくり取り組むべき計画 |
3)N-BCPの体系
[N-BCPの体系図]→ 表Ⅲ-3-2
これら個別実施計画の策定年限等については、N-BCPダイジェスト版をご覧ください。また、個別実施計画そのものは、順次各薬局に実装しますが、個人情報や営業機密に属する部分があるため公開する予定はありません。