Ⅰ-3 N-BCPについて

3 N-BCPについて

1)一般のBCPが想定する災害

一般にBCPは、その地域で起こり得る最大の災害を想定して、それへの対応を考えるものです。多くの場合、最大の災害として地震を想定します。東京都であったら東京湾北部地震(M7.3)ほか4つの地震で、想定では、区部の約7割の地域が震度6強の揺れに襲われます。長野市であったら、長野盆地西縁断層帯地震(M7.4)(善光寺地震を引き起こした断層)と糸魚川-静岡構造線断層帯地震(北部・中部)(M8.0)で、ともに市内では地域により震度6強が想定されています。

2)N-BCPが想定するもの

その地域で起こりうる最大の災害である地震に対する備えができれば、それ以下の規模の災害にも対応できるとするのが一般のBCPの前提です。これに対し、N-BCPは、地震など自然災害はじめ、事件事故、人の不在や欠損、新型感染症、テロ、ハッキングなど、さまざまな緊急事態を想定して、それらへの対応を考えていきます。N-BCPとは、「㈱中島薬局BCP」の略です。

3)N-BCPの論理

これらさまざまな緊急事態を「危機事象」と名づけました。すべての危機事象について個別に詳細に検討することはできませんが、いくつかの具体的な危機事象を想定し、またこの間、実際に起こった災害や事故に取材して、多くの課題を得、また、対策の必要性を把握しました。こうして得たいくつかの「課題-対策」は非常に基本的・基礎的なもので、これらの実行は、上に挙げた多くの危機事象に共通して対処しうるもの――これがN-BCPの論理です。

4)一般のBCPの位置づけ

一般のBCPには、震災BCP、風水害BCP、新型感染症BCP、ICT-BCPなどがあります。BCPの成果は、通常、計画本編に附属する「資料編」の中で、図解やチェックリスト、個別対応マニュアルなどに集約され、緊急事態が起こったときまず参照されるのがこの「資料編」です。N-BCPでは、震災BCPをはじめとする各BCPを「マニュアル」として位置づけ、「資料編」に収めます。緊急事態には、まずこの「資料編」が参照されます。

5)会社の経営計画との関係

N-BCPは会社の長期経営計画(「未来、今後10年……!」)の下部に位置づけられ、その実行を最も基底の部分で補完するものです。N-BCPはその性質上、「経営者と連絡がとれなくなった」などの場合も想定し、「経営の承継をどうするか」などの問題などにも触れざるを得ませんが、直接経営判断に関与するものではありません。社長不在の間、業務をどう継続するかを考えますが、実際に経営判断を行うものではありません

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