2024年12月21日
Ⅱ-3 「薬局BCP策定ガイド」(東京都福祉保健局)の検討
3 「薬局BCP策定ガイド」(東京都福祉保健局)の検討
N-BCP策定の過程で、「薬局BCP策定ガイド」(東京都福祉保健局)の検討と分析を行い、多くの貴重な知見を得ることができました。このBCPは、モデルとする薬局が震度6強の地震に襲われ、自薬局も相応の被害をこうむり、ライフライン等も途絶する中で、3日後には、薬局としての優先業務を再開するというシナリオです。前記「危機事象Ⅰ」に引き続く対応として位置づけることができます。
[被害想定]
自薬局周辺の被害状況の想定 → 表Ⅱ-3-1
自薬局の被害想定 → 表Ⅱ-3-2
[非常時優先業務の選定]
日常的に行っている薬局業務について改めて全体像を整理するとともに、災害のため制約された業務資源を集中的に投下して、災害時に継続しなければならない業務(優先業務)を選定します。
非常時優先業務の選定 → 表Ⅱ-3-3
[優先業務を実施するための業務資源の把握とリスク評価]
優先業務について、業務を実施するために必要なもの(業務資源)を把握し、併せて、被災時にそれがどの程度使用可であるか、リスクの評価をします。
業務資源把握とリスク評価 → 表Ⅱ-3-4
[業務継続目標の設定]
優先業務について、災害発生後の時間経過の中で、どのようなサービスレベルを目指すのか、業務継続の目標を設定します。その際、サービス提供方法や手段の変更、あるいは、サービス内容の質・量を変更するなど、工夫しながら継続を図る必要があります。
サービスレベルは、次の3段階に大きく分けて設定します。
× 業務をまったく継続できない
△ 業務内容が通常と異なる部分があるものの、業務を継続する
○ 通常どおりの内容で業務を施する
目標レベルが△の場合は、業務を継続するための方策・代替手段も併せて検討します。業務を継続するための方策・代替手段は、大きく分けて以下の2種類があります。
[サービス提供方法・手段を変更する]
例)疑義照会:電話の代わりに医療機関を訪問
薬袋作成:プリンタの代わりに、手書きにより作成
散剤の秤量:電子天秤の代わりに、上皿天秤により秤量
散剤の分包:自動分包機の代わりに、薬包紙による手分包
液剤の秤量:秤量用器具の代わりに、目盛付滅菌済投薬瓶により直接秤量
軟膏剤の混合:コンディショニングミキサーの代わりに、軟膏板と軟膏へらにより混合
[サービス内容(量・質)を変更する]
例)調剤日数の短縮(量)
開局時間の短縮(量)
錠剤の粉砕調剤の中止(質)
[対策の検討]
継続目標を実現するために必要となる事前対策ないし代替手段を検討します。
業務継続のための事前対策と代替手段 → 表Ⅱ-3-5
[BCP文章の作成]
以上の検討結果をまとめて整理した例を次に示します。優先業務の業務ごとに1シートを作成し、非常時にはこれを参照することになりますが、いずれも、調剤および調剤事務の基本を理解していれば(単に機械的に作業しているのではなく)、その応用ということになります。
BCP文書 → 表Ⅱ-3-6
[基本課題]
【基-Ⅰ】非常事態についてイメージやシミュレーションができるようにする
【基-Ⅱ】BCPのサンプルを調査・分析する
【基-Ⅲ】BCPの考え方を理解する